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英国で「うまみ」が大人気!

2010年4月27日 13:31
英国で「うまみ」が大人気!

 イギリス・ロンドンのスーパーマーケットで、ある商品が話題となっている。その名も「TASTE No5 UMAMI PASTE」。発売直後は売り切れになってしまったほど人気だという。

 開発したのは料理研究家のラウラ・サンティニさんで、「うまみ」がイギリスで注目され始めた数年前から勉強を重ね、試行錯誤すること2年、ついに完成した。イタリア料理でなじみのある食材にもうまみが豊富にあることを知ったサンティニさんは、まず料理本の中で紹介し、次に「おいしい料理を手軽にパパッと作るためにうまみを生かせないか」と商品のアイデアがわいてきたという。「うまみペースト」の原料はにんにくとトマト、バルサミコ酢、マッシュルーム、パルメザンチーズで、サンティニさんは「イタリアの台所料理のうまみ」と説明する。

 ロンドンで活躍する“うまみの達人”である日本食レストラン「生UMU」の料理長・久保田一郎さんは「うまみは日本がつくり出した…違う。間違っている」と話す。久保田さんは京料理を極め、ミシュランの星も持つ料理人で、ダシをとるためにわざわざ日本から水まで取り寄せるこだわり派だ。

 うまみは、今から約100年前に日本の学者が昆布から発見したが、久保田さんは「うまみ=日本」という誤解も多いと指摘する。うまみは素材に備わっているものと考えており、「うまみペースト」の人気について、「心配なのは『うまみっていうのはこれしかない』という決めつけ。うまみというのはどんな食材にもあるんだよ、と。あなた次第で、調理法次第でうまみは変わっていくんだよ、うまみは見つけられるんだよ、ということですね」と話す。サンティニさんも「素材を生かすのが大事だ」と強調する。

 ヨーロッパで注目されるうまみに、久保田さんは「手をかけてうまみを抽出して、一つの料理を作って、それを家族が食べる。それはもう一番の理想形ですよね。そういう形でうまみが普及すれば、もっといいと思うんですよね」と期待を寄せている。

 うまみをどう生かすかは、料理にこめる愛情次第。新商品は日々の食卓について考えるきっかけにもなりそうだ。