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中国で日本への反発広がる 漁船衝突

2010年9月13日 2:07

 沖縄・尖閣諸島沖で中国の漁船が海上保安庁の船に衝突した事件で、中国側は、副首相クラスの閣僚が日本大使を午前0時に呼びつける異例の申し入れを行った。日本への反発は、一般市民の間にも広がっている。

 「(戴秉国国務委員は)緊急で日本の丹羽大使を呼び出し、日本側が誤った情勢判断をせず、賢明な政治決断をすべきと促しました」-中国のメディアは12日、副首相クラスの閣僚が日本の大使を深夜に呼びつけ、中国人漁民と漁船の即時引き渡しを求めたと大きく報じた。丹羽大使は「国内法に基づき、粛々と対応する立場は変わらない」と応じたが、呼び出しはこれで4度目となる。外相に続いて副首相級による呼び出しで、時間も午前0時というのは、極めて異例。

 国営テレビも記者を沖縄に派遣したが、「日本側が漁船に衝突させたのに、船長を違法に逮捕した」と、日本側とは食い違う報道内容。このため、日本への反発は一般市民の間にも広がり、ネット上では「海軍を派遣しろ」といった過激な書き込みがあふれている。

 04年、中国人活動家7人が尖閣諸島に上陸した際、日本政府は中国の反発に配慮し、逮捕から2日で7人を強制退去処分とした。こうした前例も念頭に置いて、中国側は今回、政治的配慮を求めた。

 しかし、日本外務省の関係者は「船員は事情聴取が終われば帰せるが、逮捕・送検された船長はすでに司法の手続きに入っている」として、政治判断は入る余地がないという見方を示した。領土問題に絡むだけに、両国とも譲歩する余地が少なく、問題解決への道筋は全く見えない状況となっている。