×

海水を使い、冷却開始~枝野官房長官

2011年3月12日 23:07
海水を使い、冷却開始~枝野官房長官

 枝野官房長官は12日午後8時半からの記者会見で、福島第1原子力発電所での爆発について、建物の崩壊で原子炉の格納容器の損傷は認められないことを明らかにした。大量の放射性物質が外部に漏れていることはないとしている。今後、海水を使って原子炉、格納容器を冷却する措置を決めたことを明らかにした。すでに作業を開始したという。

 枝野官房長官「建屋の壁が崩壊したものであり、中の格納容器が爆発したものではないことが確認されました。従って、放射性物質が大量に漏れ出すものではありません。モニタリングの結果も確認をしましたが、爆発前に比べ、放射性物質の濃度は上昇していません。避難指示はこうした爆発の状況、それによる対応策を今回決定し、実施した。対応策などの方向性輪郭の可能性が見えてきた段階で、万が一の対応策として、20キロ圏内からの退避いただくものと拡大した」

 爆発は、建物の外側で起きたもので、内側にある格納容器には影響がないとしている。また、枝野官房長官は、放射性物質の濃度も12日午後3時30分に1015マイクロシーベルトだったものが12日午後7時前には70.5マイクロシーベルトに低下していることを明らかにしている。

 さらに、枝野官房長官は今後、海水を使って原子炉、格納容器を冷却する措置を決めたことを明らかにした。12日午後8時20分からすでに作業を開始したという。原子炉を海水で満たすのには5~10時間、格納容器を満たすのには「10日単位」かかるとしている。

 避難地域を半径10キロ圏内から20キロに拡大したことについては、この海水を使った措置が「事実上の初めての行為」であったこと、今回の災害が未曽有のものであったことから「万一のリスクも考え、万全を期すべき」と考えた措置としている。

 これに先だって菅首相も会見し、福島第1原子力発電所の事故について、「一人の住民にも健康被害が及ばないよう、全力を挙げて取り組む」と強調し、冷静な行動を求めた。

 菅首相「今回の地震が、従来想定された津波の上限をはるかに超えるような大きな津波が襲ったために、従来、原発が止まってもバックアップ態勢が稼働することになっていたが、そうしたところに問題が生じているところであります。そこで私たちとしては、まず、住民の安全を第一に考えて策をうってまいりました。まず1人でも多くの皆さんの命を救う。このために全力を挙げて、特に12日、13日、14日頑張り抜かなければならない」

 菅首相はこのほか、被災地に派遣している現在2万人の自衛隊員を5万人態勢とする方針を明らかにしている。菅首相は12日朝から福島第1原子力発電所などの視察に入っている。

 菅首相は会見で、「あのときの苦難を乗り越えてこうした日本が生まれたと言えるような取り組みをそれぞれの立場で頑張って頂きたい」「全身全霊、命がけで取り組むことを約束する」と決意を表明した。