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震災犠牲者の弔いも…平泉大文字送り火

2011年8月17日 22:27
震災犠牲者の弔いも…平泉大文字送り火

 岩手・平泉で16日夜、毎年恒例のお盆行事「平泉大文字送り火」が行われた。今年は世界遺産登録が決定して初めてのお盆だが、東日本大震災で亡くなった人たちの供養を願う思いも込められた。

 平泉の大文字送り火は65年から行われている伝統行事で、中尊寺で1200年もの間、ともされ続けている「不滅の法燈」を分火して山まで運び、午後8時ちょうどに火床に火をつけると、山肌に大きな「大」の文字が燃え盛る火で浮かび上がる。

 16日は各地で送り盆の行事が行われ、京都市では、毎年恒例の「五山送り火」が執り行われた。当初、この送り火には岩手・陸前高田市の薪(まき)も使用される予定だったが、放射性物質を懸念する声が上がった結果、中止になった。その後、再び計画が持ち上がったものの、検査で薪の皮から放射性物質が検出されるなど、二転三転し、取りやめとなった。

 薪の使用中止を残念がる声が上がる一方で、平泉の大文字送り火では、初めての試みとして、岩手・洋野町から宮城・南三陸町までの沿岸の14市町村から集められた木材が火床に加えられることになった。毛越寺の檀家(だんか)から「犠牲者を弔うために、被災地の木材を大文字に使ったらどうか」という提案があり、平泉観光協会などが先月末、2日にわたって集め歩いたという。普代村から寄せられた海で漁をする時に使う箱メガネや、家の柱に使われていたような木材など、軽トラック約1台分が火床に加えられた。

 今年の大文字のともしびには、突然の震災で命を奪われた犠牲者たちの御霊(みたま)を厳かに送りたいという思いが込められていた。