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事実上、政権崩壊のリビア 首都の現状は?

2011年8月25日 19:52

 カダフィ政権が事実上崩壊したリビア。NNNの取材班は、反政府勢力がほぼ制圧した首都・トリポリに入った。反政府勢力のカダフィ派に対する掃討作戦が続いており、取材班が宿泊する市内のホテルでは、銃を持った兵士が捜索を行うという緊張の場面もあった。現地から富田徹記者が報告する。

 トリポリ西部は比較的戦闘も少なく静かだが、市内の各地では、今でも小規模な戦闘が起きている。24日にホテルで遭遇した民兵たちも、カダフィ大佐の息子や市内各地に潜んでいるという狙撃手を捜している様子だった。

 トリポリ南部では現在も戦闘が続いている場所があり、24日にトリポリに到着した時も、いくつもいくつも民兵の検問所を通り抜けなければいけなかった。半年に及ぶ内戦の中で、最後はカダフィ大佐が市民を戦いに動員するために銃を配ったという話もあり、市内は銃器であふれている。24日も夜遅くまであちこちで、ひっきりなしに銃声が響いた。大方は空に向かって打つ祝砲だが、少し不気味に感じた。イラクのフセイン政権崩壊時にも見られたように、今後の治安の悪化は避けられないと思われる。

 カダフィ大佐の拠点だったバーブ・アジジヤ地区には地下道が張り巡らされているといわれている。これを使ったのかはわからないが、カダフィ大佐はすでにトリポリにはおらず、反政府勢力側は懸賞金をかけるなど、血眼で行方を追っている。ロイター通信は「北大西洋条約機構(NATO)軍が情報面でサポートしている」と伝えている。

 一方、反政府勢力の「国民評議会」は、程なくトリポリに拠点を移すものとみられる。市民らの熱狂的な歓迎を受けるのは間違いない。来週にはフランス・パリで関係各国を集めた国際会議を開いたり、国連制裁で凍結されてきた海外資産の凍結解除を求めたりと、新たな国造りのための動きも出てきている。