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南スーダンで存在感示す中国 日本は?

2012年2月22日 2:28
南スーダンで存在感示す中国 日本は?

 陸上自衛隊がPKO(=国連平和維持活動)のために派遣された南スーダンでは、インフラ不足が深刻で、自衛隊は、道路の補修や橋の建設などを行う予定。一方、南スーダンでは、この国の豊富な石油資源を見越して、中国がすでに圧倒的な存在感を見せていた。

 20日午後、PKOに参加する自衛隊の本隊120人が南スーダンの首都・ジュバの空港に到着した。20年以上にわたる内戦を経て、去年7月に独立した南スーダンでは、極度のインフラ不足が続いており、国全体でも舗装道路はわずか数十キロしかない。今回到着した部隊の主な任務は宿営地の整備で、その後は派遣規模を拡大し、5月以降は300人以上の隊員がインフラ整備に取り掛かる見通し。

 南スーダンでは現在、日中の気温が40℃を超える。猛烈な暑さに加え、マラリアなどの風土病もあり、隊員は健康管理にかなり気を使っているようだ。過酷な環境の中で、かなりの消耗戦になることが予想される。

 一方、南スーダンでは、先月にPKO部隊を派遣した中国がひときわ存在感を示している。中国企業が、国会の改修工事を請け負った他、サッカー場の改修にも出資した。

 中国の狙いは、国際貢献だけではなく、南スーダンの豊富な石油資源にある。南スーダンは、国の収入の約9割を石油に依存している。新たな油田の探索や原油を運ぶパイプラインの設置なども計画されていて、中国だけでなく、他の国々も関心を示している。

 一方で、中国の進出でひずみも生まれている。中国企業がてがける建設現場などで働く労働者の多くは、本国から来た中国人だ。これに対し、南スーダンの市民からは「石油事業でも投資でも構わないが、南スーダンの人材を育ててほしい」「中国が自国から全て労働者を連れてくるなら受け入れ難い」といった声が聞かれた。

 南スーダンの閣僚は「日本が今後、貢献を積み重ねてくれるなら、日本からの投資は大いに歓迎する」と話している。自衛隊の部隊が現地での信頼感を高めた後は、日本政府や外交当局の力量が試されることになる。