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5000年の歴史で“初”大統領選投票開始

2012年5月24日 2:30

 エジプトで23日、5000年の歴史で事実上初めて市民が国のトップを選ぶ選挙が始まった。去年の「アラブの春」のデモで独裁的なムバラク政権が崩壊、今回の大統領選挙は、一連の民主化プロセスの集大成といえる。

 有力とされる候補は、ムバラク政権の下で閣僚を務めたムーサ候補とシャフィーク候補、イスラム勢力の支持を受けているアブルフトゥーハ候補とモルシー候補の4人。しかし、デモを率いたリーダーたちは選挙に加わっておらず、豊富な政治経験を求めるのか、イスラム色の強いリーダーを選ぶのかという争いとなっている。

 首都・カイロの投票所には、投票を待つ人々で長蛇の列ができた。投票に来た市民の中には、前日は興奮して眠れなかったという人もいた。

 選挙の行方は、地元メディアも予想できていない。初めから結果が決まっていた以前と違って、今回は世論調査の結果もバラバラだ。地元記者は「見通しが読めないのは困るけれど、これこそ民主主義なんだ」と話していた。

 民主化デモの立役者となった若者グループは、独自候補の擁立や、特定の候補支持を決められず、存在感を発揮できていない。若者グループは、ムバラク政権崩壊後もデモなどを繰り返してきたが、長引く混乱に嫌気がさした一般の人々の支持を失った。むしろ人々の安定志向が強まったため、ムバラク政権との関係が深くても政治経験のある政治家や、イスラム政党など盤石な組織基盤のある候補に支持が集まる今回の選挙情勢につながっている。

 投票は24日も行われる。