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福島第一原発4号機内部 報道陣に初公開

2012年5月26日 19:35
福島第一原発4号機内部 報道陣に初公開

 26日、安全性への懸念が絶えなかった福島第一原発4号機の原子炉建屋の中に、事故後初めて報道陣のカメラが入った。事故から1年2か月たった現在も、事故のすさまじさを生々しく伝えている。

 カメラは、4号機の1階から建屋の中へと入った。散乱したがれきの中、爆発の威力のすさまじさを肌で感じながら、報道陣はほぼ骨組みだけとなった4号機の建屋の中を慎重に進む。事故後、復旧作業のために取りつけられた細いはしごのような階段を上ると、4階部分では機械が壊れ、壁がなかった。5階部分では、天井や壁がぽっかりと抜け、全てが野ざらしの状態となっていた。また、白いシートに覆われた使用済み燃料プールがあった。水の中には現在も1535本の燃料が保管されている。

 原発事故から1年2か月余りが経過し、報道陣への公開にこぎ着けたが、ここまでの道のりは平たんなものではなかった。

 4号機の燃料プールをめぐっては、事故直後から国内外で安全性に対する懸念の声が上がっていた。

 事故当時の4号機は、建屋の壁が崩れ落ち、使用済み燃料プールが外から丸見えの状態となっていた。事故直後から国内外で安全性に対する懸念の声が上がっていた。

 いち早く危機感をあらわにしたのが、アメリカの原子力規制委員会(=NRC)。ヤツコ委員長(当時)は「福島第一原発4号機の燃料プールは空で、水がないと考えています」と述べている。国内でも同様の懸念は根強く、水面下では「大量の放射性物質の放出」という最悪のシナリオまで想定されていた。

 結局、燃料プールには水が残っていることが確認されたものの、建屋の傾きや耐震性の問題など、その後も4号機の安全性に対する懸念の声は絶えなかった。

 「東京電力」は鋼鉄製の支柱やコンクリートなどによる補強工事を行った。検査の結果、建屋は傾いておらず、今後、東日本大震災並みの地震が来ても十分に耐えられると説明している。

 しかし、東京大学工学系研究科建築学専攻・高田毅士教授は「今の情報だけでは、まだ情報が不足している。(4号機の)健全性が確保されているかどうかは、第三者がチェックする必要が出てくる」と話している。

 東京電力は、来年12月までに燃料の取り出しを始める予定。しかし、1500本を超える燃料の取り出しが完了するメドは全く立っていない。