×

ソチ五輪の準備は?「恥ずかしい状況」も…

2013年9月27日 16:32
ソチ五輪の準備は?「恥ずかしい状況」も…

 2020年、東京オリンピックの開催が決まったが、まもなく開催されるオリンピックと言えば、ソチ冬季オリンピック。東京も色々とお手本にしたいところだが、なかなか、準備が進んでいないようだ。モスクワ支局・山内康次記者が取材した。

 ロシア南部のソチ。8月、ビーチは夏休みを過ごす人々でにぎわっていた。海水浴に来ていた人たちからは「オリンピックが開催されるので街は変わりました」「ソチは良い方向に変わりつつあると思います」という声が聞かれた。半年後に迫った冬のオリンピックに向けて街はどのように変わったのだろうか。

 山の会場の拠点は、すっかり一大観光地になっていた。また、スキーやソリなどの競技会場の拠点も多くの観光客が訪れていた。しかし、競技施設に行ってみると、客席のあたりはまだ土が見えている。ジャンプ台は工事が大幅に遅れ、未完成のままだった。さらに、スキーフリースタイルなどの会場では雪不足が懸念されている。そのため、昨シーズン降った雪を保存しようと保護カバーをかぶせているのだが、カバーの中の雪が溶けだしていた。手元の温度計は20℃以上。雪を溶かすには十分な気温だ。

 懸念材料はほかにもあった。タス通信によると8月7日、ソチオリンピックの準備状況に関する会議が開かれた際、メドベージェフ首相は「このような道路状況は恥ずかしい」と発言したという。“恥ずかしい道路状況”とは、どういう状況なのか?オリンピックのメーン会場へ向う大通りを進んでいくと、ひどい渋滞だった。オリンピックに向けた整備に伴い、毎日この状況だという。住宅街では工事車両が土埃(つちぼこり)をあげて行き交っている。ソチの市民からは「こんなの道路じゃない!」「オリンピックのためには我慢しないと…」という声が聞かれた。

 8月8日、オリンピックまで半年となったのにあわせてオリンピックの競技場が集まる「オリンピックパーク」が報道陣に公開された。テロを警戒するため、オリンピックパークでは、厳重な警備態勢が取られていて、私たちも、パスポートを提示するように指示された。この日、公開されたのは、フィギュアスケートやアイスホッケーの会場。半年後に迫ったオリンピックに向けての準備はどれくらい進んでいるのだろうか。アイスホッケー会場の責任者は「100%の準備ができています。明日オリンピックを開催しろという指示があっても大丈夫です」という。しかし、オリンピックパークの様子をみると、明日にでもオリンピックを開催できるという言葉とは、ほど遠い光景がひろがっていた。

 期待と不安がうずまく中、10月7日には、聖火リレーがスタートする。私たちはロシア・モスクワ郊外にある「星の町」へ向かった。ここにあるのは、ガガーリン宇宙飛行士訓練センター。若田光一宇宙飛行士が訓練を受けている場所だ。若田さんが乗るソユーズ宇宙船は、2013年11月に打ち上げられる予定で、その時、あるものが若田さんと一緒に宇宙へ向う。それは、ソチオリンピックの聖火トーチだ。今回の聖火リレーは、10月7日にモスクワをスタートし、ロシア全土、約6万5000キロ、1万4000人の聖火ランナーがつなぎ、ソチに到着する。潜水艦でバイカル湖の底に潜水する計画もある。そして、ソユーズ宇宙船で宇宙へと運ばれるという。ロシア宇宙庁によると、聖火トーチを持ったロシア人宇宙飛行士が宇宙遊泳し、開会式では、このトーチを使って聖火が点灯されるということだ。若田さんは「聖火に関する訓練も受けることになると理解しています」「オリンピックに関連したイベントが国際宇宙ステーションで行われるのは非常に喜ばしいこと」と語る。

 世界が注目するソチオリンピック。開幕は約5ヶ月後の2014年2月だ。