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南相馬市の合唱団が“天使の歌声”と共演

2014年3月8日 23:06
南相馬市の合唱団が“天使の歌声”と共演

 東日本大震災の発生からまもなく3年。避難生活などに耐えながら、合唱を続けてきた子どもたちがいる。福島県南相馬市の合唱団が5日、「音楽の都」オーストリア・ウィーンで“天使の歌声”と共演した。

 ウィーンで開かれる復興支援コンサートに出演することになったのは、南相馬市を拠点に活動する合唱団「南相馬ジュニアコーラス・アンサンブル」。地元の子どもたちを中心に構成されているが、原発事故の影響で町を離れたり、今も仮設住宅で暮らしたりするメンバーもいる。それでも活動を続ける姿が注目され、2011年12月18日には南相馬市で歌手のAIさんとも共演した。

 佐藤真喜子さん(16歳)は南相馬に住む高校1年生で、昨年末、合唱団に参加した。

 「東北にいない人にとっては過去のことになっていると思うので。でも、ここに住んでいる人にとっては今現在のこと」-合唱を通じて福島の今を伝えたい。佐藤さんやメンバーたちはその思いを胸に、音楽の都へ渡った。そして、“天使の歌声”として知られ、今回、コンサートで共演するウィーン少年合唱団の寄宿舎を訪問した。

 合唱団の最年長である山本多恵さん(19歳)は2012年、東京でウィーン少年合唱団と共演した経験がある。山本さんは今年、合唱団からの卒業を決めている。

 ウィーンで最も有名と言われる歴史あるコンサートホールで、本番の日を迎えた。「ふるさとの今」が伝わるかどうか心配されたが、終了後は拍手が鳴りやまなかった。

 山本さん「すごく良かった。良い演奏ができた」

 佐藤さん「泣いちゃいました。(思いは)伝わったと思います」

 観客「素晴らしいメッセージだったわ」「皆が1つになった合唱に目が潤みました」

 原発事故でバラバラになりながらも、合唱を続けてきた3年。子どもたちの歌声が、これからも多くの人の心に響き続ける。