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震災3年、ルース前大使が語る“あの日”

2014年3月14日 16:18
震災3年、ルース前大使が語る“あの日”

 東日本大震災から3年を迎え、アメリカのルース前駐日大使がNNNのインタビューに応じた。ルース氏は「私はあなた方を忘れていない」と話し、支援を続けていく決意を強調した。近野宏明記者が取材した。

 3年前、ルース氏は東京の大使館で大きな揺れに遭い、外に避難。大使館の駐車場で、押し寄せる津波の映像を目にした。

 ルース氏「大使として、私はすぐ日本を助けるのに必要な全ての行動をとりました」「ただちに『トモダチ作戦』にとりかかった在日米軍の首脳に連絡をとりました。もちろんワシントンにも連絡をしました。大統領は状況を聞いて驚いていましたが、『この重大局面で、友人を助けるために必要なことは全てしてくれ』と話しました」

 大幅に増員した大使館員を率い、2万4000人ものアメリカ兵が参加した「トモダチ作戦」でもさまざまな局面で奔走したルース氏は、震災からわずか12日後、避難所を初めて訪問した。ルース氏はアメリカを代表して「日本の友人にどんなことでも支援していく」と述べ、被災者から大きな拍手を浴びた。

 ルース氏「大使として『希望』や『チャンス』を提供できるのは喜ばしいです。震災の12日後に、石巻市の避難所を訪問した時、12歳くらいの男の子が、私にかけよってきて抱きついてきたのです。まるで癒やしが必要なのが私の方であるかのように。その瞬間、私は震えました。大使として『希望』を人々に提供することもできますが、彼らとの交流によって強くもなれます。一方通行ではないのです」

 その後も足繁く通った被災地。時にはTシャツ姿でボランティアのメンバーと建物の解体作業に汗を流した。

 ルース氏「わずかながらも貢献できたことに精神的に気持ちが良かったですし、このように肉体的に大変な作業に感謝する気持ちにもなりました。非常に、非常に、貴重な経験でした」

 東北の人々の強さに心を動かされたというルース氏は、去年、ケネディ大使に後を託して退任。カリフォルニア州で弁護士活動にもどった。その仕事場には、被災地から贈られた絵や手紙などがずらりと並んでいる。被災地での子供たちや若者との交流は、新たな取り組みにつながっている。

 震災の翌年に始まった「TOMODACHIイニシアチブ」は、日本の友人として、東北をはじめとする若者たちの留学や交流を支援するもの。ルース氏はこの取り組みを通じ、日米の絆をより深めようと努めている。

 ルース氏「3年前、3月11日の危機の際に、我々は信じられないぐらい深いつながりを目の当たりにしました。日米間の絆を見たのです」「日米が人々をより近づけるような枠組みを見つけることが重要であり、それが『TOMODACHIイニシアチブ』の取り組んでいることです。日本は東アジアの問題だけでなく、世界の諸問題でもパートナーなのです」

 日本から遠く離れた場所で、あの日から3年を迎えたルース氏。被災地のことは心から離れない。

 ルース氏「私たちはあなた方のことを忘れていませんし、どんな方法でも支援したいというのが私のメッセージです」「重要なのは、忘れずにいること、そして、できる支援を継続していくことです」「人々はまだ仮設住宅で暮らしていますし、被災地の人々にとっては、いまなお危機的状況なのです。我々はそのことを忘れてはいけません。引き続きそのことに重きを置かねばなりません」