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地下鉄サリン 警察無線の記録73分公開

2015年1月14日 15:44
地下鉄サリン 警察無線の記録73分公開

 20年前に起きた地下鉄サリン事件で、警視庁は発生直後からの緊迫したやりとりが収められた警察無線の交信記録を公開した。

 八丁堀駅(現場の警察官)「八丁堀の女性2名、これによっては現在、人工呼吸中。救急隊の話によると危ない状況」

 通信指令本部「築地どうぞ」

 築地駅(現場の警察官)「20~30(人)くらいが口鼻等から出血、呼吸困難で立ち上がれない状態」

 今から20年前。1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件。13人が亡くなり、6000人以上が負傷した。

 麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚の指示のもと、オウム真理教の信者たちが地下鉄の車内で猛毒のサリンをまいたのだ。

 14日、警視庁が公開した1本のカセットテープ。ラベルには「地下鉄サリン」の文字。そこには現場に駆けつけた警察官と通信指令本部の無線のやりとりが、73分あまりにわたって記録されていた。

 テープの音声は、午前8時21分。日比谷線・八丁堀駅の異変を伝える報告から始まっていた。

 通信指令本部(午前8時21分)「場所が八丁堀2丁目22番、日比谷線の八丁堀駅。病人2名。気持ちが悪くなった者、2名がいるそうです。あるいは事件・事故等やもしれませんが、詳細判然としません」

 事件当時の八丁堀駅付近の映像には、体の不調を訴え、路上に横たわる人たちが映し出されていた。

 横たわる男性「頭痛がすごくて、息苦しい」

 すると、八丁堀駅の報告の3分後、隣の築地駅からも…。

 通信指令本部(午前8時24分)「日比谷線の築地駅、現在電車がとまっているもようですが、ガソリンの臭い等がし、車両の中にガソリンをまかれたうんぬんの内容です。最優先で調査せよ、どうぞ」

 報告は日比谷線以外からも。千代田線・国会議事堂前駅では…。

 国会議事堂前駅(現場の警察官:午前8時37分)「千代田線、国会議事堂前駅構内においても、女性1名、男性2名の計3名がホーム上に倒れているもよう。原因については現在、調査中」

 中央官庁が集中する霞ケ関駅に向かう日比谷線・千代田線、丸ノ内線。異変はあわせて3路線・5つの車両で同時多発的に起きていたのだ。

 だが原因はわからず、当初はこんな見立てもあった。

 通信指令本部「警視庁から各局。地下鉄駅構内で、爆発物を使用したゲリラ事件が発生した」

 そんな中、原因に関する重要な目撃情報がもたらされる。

 八丁堀駅(現場の警察官:8時46分)「ビニール袋入りの新聞紙に包んだ液体、これが目の前に落ちた。その液体が溶け出し、ものすごい異臭がした」

 通信指令本部「この液体は当初どこにあったわけですか、どうぞ」

 八丁堀駅(現場の警察官)「了解。先ほどから言っているとおり、『満員の電車内に突然何者かが、この新聞紙に入った液体を落とした』このような言動あり、どうぞ」

 日比谷線の車内で撮影された写真。ぬれた新聞紙が見える。実はこれで、サリンが入った袋を包んでいたのだ。林泰男死刑囚らオウム真理教の実行犯たちは、車内に置いたこの包みを、持ち込んだビニール傘で突いた。そしてサリンが充満し、大きな被害が出たのだ。

 同じ包みは千代田線・霞ケ関駅にも。

 霞ケ関駅(現場の警察官:9時20分)「1個については現在、駅側の金庫、駅側の金庫内に封印をして置いてあります」

 通信指令本部「警視庁、了解。これは液体等漏れる、ガスが漏れる等、状況はいかが、どうぞ」

 霞ケ関駅(現場の警察官)「了解しました。ガスが漏れるような状況がありますので、完全密封の金庫内、金庫内に現在は封印して置いております」

 この、サリンの入った包みの回収にあたった駅員2人が命を落としている。

 発生からまもなく20年。警視庁は今回、テープを公開した理由について、「当時の現場での警察官の活動を理解してもらうため」としている。

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