そして、命に寄り添う 余命宣告受けた少年

大平空河くんが両親につづった1675文字のずっと話したかったこと。
母・睦子さん「大好きだよ空河」
その空河くんの、背中を少しだけ押したのが訪問看護師の2人でした。
訪問看護師・結城さん「最期のひと呼吸まで、しっかりお手伝いしたいと思う」
訪問看護師は在宅医療の患者の暮らしを支える仕事。担当する患者の多くが医師から「もう治療の余地がない」と告げられた人たちです。
この日の訪問は―
空河くん「あっ、違う、結城さんか」
結城さん「遅いよ!(笑)」
空河くんは、生まれてすぐ、両目にがんが見つかり、3か月前に視力を失いました。両親は、医師から「余命宣告」を受けています。ずっとみんなで一緒にいよう…そう決めていました。
訪問看護師・安藤さん「いまは5段階のうち(痛みは)なんぼ?」
空河くん「とりあえず今3かな」
安藤さん「3あるの?」
空河くん、自分のことをあまり口にしません。訪問看護師の安藤さんは空河くんがしまいこんできた家族への思いをこっそり聞いていました。
安藤さん「空ちゃんの話、一杯聞かせてもらったじゃん。空ちゃんの言ったことを全部手紙にしたんだけど」
家族に話したいことがたくさんありました。
空河くん「お母さん、これメッセージカード」
母・睦子さん「いいの?空河から?ありがとう」
父・司さん「にいにが、みんなに書いた手紙ね」
手紙にはこうありました。
――家族へ。
毎日夜中お父さんが仕事に行く時、目が覚めているんだ。いつも心の中で『気を付けていってらっしゃい』って言っているんだよ。
お母さん。お母さんが笑ってくれるのが一番うれしい。お母さんは僕の心配しすぎ。お母さんが不安なら、少し入院するのも考えるけど、にぎやかでお母さんのおいしいごはんが食べられる家に居られることが一番うれしい。今年のお母さんの誕生日、兄弟4人で楽しく笑ってお祝いしたい。
空河より
父・司さん「ありがとうね、空河。こういうふうに思ってくれてたんだね、空河も」
1675文字のずっと話したかったこと。
お母さんの誕生日会。空河くんはしゃべることも難しい状態になっていました。
母・睦子さん「ありがとう空河。空河が選んでくれたの?約束通りだね…手紙のね。ありがとうね」
父・司さん「空河大好きだよ。空河と家族になれて本当に幸せだよ。ありがとうね、空河」
母・睦子さん「お母さんだよ。大好きだよ空河。ありがとうね、空河」
8日後、空河くんは旅立ちました。
結城さん「空ちゃんの何を思い浮かべる?」
母・睦子さん「YouTube見て笑ってること」
結城さん「っていう風に笑っていて欲しいんじゃない?ママに」
“そして、命に寄り添う”
今日も苦しむ人の隣にいます。
※福島中央テレビで制作したものをリメイク。2020年7月放送、NNNドキュメント「命に寄り添う」より。
【the SOCIAL×NNNドキュメントより】
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